【Prismaとテストシリーズ】テスト実行用のDBとローカル環境開発用のDBを使い分けてみた
こんにちは。AWS事業本部モダンアプリケーションコンサルティング部に所属している今泉(@bun76235104)です。
PrismaはTypeScriptでも利用できるORMの一つです。
前回、以下の記事では「テストケースごとに隔離されたトランザクションで、安全にテストしたいなー」というモチベーションでjest-prismaというライブラリを試してみました。
今回はこれに加えて「ローカル開発で利用するDB」と「テスト実行時に利用するDB」を分けてみました。
状況 | 接続するDB |
---|---|
ローカル環境での開発時 | sample |
テスト時 | sample_test |
さっそくまとめ
- Prisma公式ドキュメントに記載されている「複数の.envファイルを利用する方法」によりあっさり解決できました
- 嬉しいポイント
- ローカルでデータを生成していても、その結果がテストに影響しない
- テスト用のDBが不整合な状態になっても、何の躊躇いもなくレコードを消すなどの運用ができる
- 要するに、「テストを実行する際の環境」と「普段ローカルで開発しながらシステムを動かす際の環境」が互いに影響を与える可能性を低くする
作業の流れ
事前準備
通常Prisma
やjest
などの設定が必要となりますが、今回その準備の工程は省かせていただきます。
利用しているソースコードなどは以下のリポジトリに配置しているため、興味がある方はご確認ください。
dotenvの準備
先ほども言及したUsing multiple .env files. | Prisma Docsの手順に従って作業をしました。
まずは、.env.test
というファイルを.env
と同様にプロジェクトルートに作成します。
DATABASE_URL="mysql://ユーザー名:パスワード@localhost:3306/sample_test"
ちなみに.env
は以下のように記述しており、利用するDBが異なるだけです。
DATABASE_URL="mysql://ユーザー名:パスワード@localhost:3306/sample"
次にdotenv-cli
をインストールします。今回はグローバルインストールではなく、devDependencies
にインストールしました。
npm i -D dotenv-cli
package.jsonのscriptsを修正
テスト実行時に.env.test
を読み取ってくれるように以下のようにpackage.jsonのscriptsを修正します。
{ "scripts": { "test": "dotenv -e .env.test -- jest", "migrate:test": "dotenv -e .env.test -- prisma migrate reset -f" } }
npmを利用する際は npm run test
を実行するだけで、テスト用のDBを参照してくれてとても良いです。
またテスト用のDBにマイグレーションを適用、ゴミデータの削除などを行うためにnpm run migrate:test
というコマンドも準備しています。
その他、テスト用DBにseedコマンドを適用したい場合なども、同様のやり方でscriptsを組めると思います。
なお、プロジェクトで利用する環境変数がDATABASE_URL
だけである場合は、以下のようにscripts
を組むだけでも良いと思います。
{ "scripts": { "test": "DATABASE_URL=任意の値 jest", } }
しかし、実際のプロジェクトの場合他にも「外部のシステム接続用の情報」などを管理することもあると思いますので、doenvを利用する方法の方が管理がしやすいかもしれません
実際にやってみる
ここまでの設定によりコマンドを実行すると、以下のように.env.test
の情報を読み取って意図したとおりにsample_test
というテスト用のDBに接続してくれました。
> [email protected] test > dotenv -e .env.test -- jest PASS src/users/users.repository.spec.ts UsersRepository createUser ✓ should return a user (22 ms) ✓ should return a user2 (25 ms) updateUser ✓ updates user name (17 ms) ✓ updates user name (15 ms) Test Suites: 1 passed, 1 total Tests: 4 passed, 4 total Snapshots: 0 total Time: 1.247 s Ran all test suites.
試しに開発用DBにテストの成功を阻害するようなデータを投入しておきましたが、当然問題なく動作しました。
さいごに
今回と前回はとにかく「テストと開発環境の世界を切り分けたい」というモチベーションで試してみました。
結果として良さげな環境を再現できたので、本格的なプロジェクトでも試していきたいと思います。
以上、最後までご覧いただきありがとうございました。
今泉でした。